結論|金額だけで選ぶと失敗する
相見積もりが届いた。3社分の見積書が手元にある。
ここで多くの人がやってしまうのが、「一番安い業者に決める」という判断です。
結論から言います。金額だけで選ぶと、高確率で後悔します。
私は建築会社を経営する立場で、外壁塗装のトラブル相談を数多く受けてきました。
その中で「相見積もりを取ったのに失敗した」という人には、共通点があります。
見積書の「金額」しか見ていない。
見積書には、金額以外にも重要な情報が詰まっています。
その「違い」を見抜けるかどうかで、業者選びの結果は大きく変わります。
この記事では、見積書が届いた後に「何を比較すればいいか」を具体的に解説します。
まだ見積もりが2社以下の方へ
比較材料は最低3社分必要です。
2社以下では「どちらが適正か」の判断ができません。
金額だけで決めて後悔した実例
実際に私が見てきた「失敗パターン」を紹介します。
ケース①:安さで選んだら、追加請求が止まらなかった
A社:80万円
B社:100万円
C社:110万円
一番安いA社に決めた。
しかし工事が始まると、
「下地が傷んでいたので補修が必要です」「シーリングも打ち替えた方がいい」と
次々に追加請求。
最終的に総額120万円になり、B社・C社より高くなった。
ケース②:高い業者を避けたら、3年で塗膜が剥がれた
A社:90万円
B社:95万円
C社:130万円
C社は高すぎると思い、A社に依頼。
3年後、外壁の塗膜が剥がれ始めた。
後から分かったのは、A社は乾燥時間を十分に取っていなかったこと。
C社の見積もりには「各工程の乾燥時間」が明記されていたが、A社にはなかった。
ケース③:中間の価格で選んだが、対応が最悪だった
A社:85万円
B社:100万円
C社:120万円
「高すぎず安すぎない」B社を選んだ。
しかし、工事中の連絡が雑で、質問しても曖昧な返答ばかり。
完了後に気になる箇所を指摘しても「これが普通です」と取り合ってもらえなかった。
見積もり段階で「説明の丁寧さ」を比較していれば、避けられた失敗でした。
見積書を並べたら見るべき「3つの違い」
金額の比較は誰でもできます。
差がつくのは、金額以外の「3つの違い」に気づけるかどうかです。
違い①:内訳の詳しさ
見積書を並べて、まず確認してほしいのが「項目の細かさ」です。
曖昧な見積書:
外壁塗装工事一式 1,000,000円 諸経費 100,000円 合計 1,100,000円
詳細な見積書:
足場設置 180㎡ × @800円 = 144,000円 高圧洗浄 130㎡ × @250円 = 32,500円 下塗り(パーフェクトサーフ) 130㎡ × @700円 = 91,000円 中塗り(パーフェクトトップ) 130㎡ × @1,100円 = 143,000円 上塗り(パーフェクトトップ) 130㎡ × @1,100円 = 143,000円 シーリング打ち替え 80m × @900円 = 72,000円 ...
「一式」ばかりの見積書は、何が含まれているか分かりません。
工事後に「これは含まれていません」と言われるリスクがあります。
3社の見積書を並べて、最も内訳が詳しい業者はどこですか?
違い②:塗料の明記
次に確認するのは、塗料のメーカー名・商品名が書かれているかです。
曖昧な記載:
- 「シリコン塗料」
- 「高耐久塗料」
- 「当社オリジナル塗料」
明確な記載:
- 「日本ペイント パーフェクトトップ」
- 「関西ペイント アレスダイナミックTOP」
- 「エスケー化研 プレミアムシリコン」
メーカー名・商品名が明記されていれば、自分で性能や価格を調べられます。
曖昧な記載の業者は、「どんな塗料を使うつもりなのか」を質問してください。
3社の見積書を並べて、塗料名が明確なのはどこですか?
違い③:保証内容
見積書に「保証」の記載があるか確認してください。
確認すべき項目:
- 保証期間(何年か)
- 保証範囲(塗膜剥離、変色、ひび割れ等)
- 保証の条件(定期点検が必要か)
- 保証書の発行(書面でもらえるか)
「10年保証」と口では言っても、書面がない業者は要注意です。
また、保証期間が長くても「範囲が狭い」場合は意味がありません。
3社の見積書を並べて、保証内容が最も明確なのはどこですか?
保証内容の詳しい見方はこちらの記事で解説しています。
金額差が大きい時の考え方
3社の見積もりを比較すると、金額に差が出るのは当然です。
A社:80万円
B社:100万円
C社:130万円
この差を「高い・安い」だけで判断しないでください。
安い見積もりの場合
「安い理由」を確認してください。
正当な理由の例:
- 自社施工で中間マージンがない
- 塗料のグレードを抑えている(説明あり)
- 閑散期で値引きしている
危険な理由の例:
- 必要な工程が含まれていない
- 下地補修が見積もり外
- 後から追加請求する前提
安さの理由を質問して、明確に説明できない業者は避けてください。
高い見積もりの場合
「高い理由」を確認してください。
正当な理由の例:
- 高耐久塗料を使用している
- 下地補修を丁寧に行う
- 第三者保証が付いている
疑問な理由の例:
- 「うちは品質が違うので」と曖昧
- 大手ブランドの中間マージン
- 不要な工事が含まれている
高いからといって「良い業者」とは限りません。
高い理由を質問して、納得できるか確認してください。
見積もりの内訳が曖昧で比較できない場合
「一式」ばかりの見積書では、適正な比較ができません。
内訳が詳しい業者を追加で探すことをおすすめします。
「決められない」時の判断軸
3社を比較しても、どこに決めればいいか分からない。
そんな時は、以下の順番で判断してください。
判断軸①:説明が一番丁寧だった業者はどこか
見積もりの説明を受けた時、最も丁寧だったのはどこですか?
- 質問に具体的な数字で答えてくれた
- デメリットも正直に説明してくれた
- 「他社とも比較してください」と言ってくれた
説明が丁寧な業者は、工事も丁寧な傾向があります。
判断軸②:見積書が一番詳しい業者はどこか
見積書の項目が細かく、内容が明確なのはどこですか?
見積書の作り方に、その業者の姿勢が表れます。
判断軸③:契約を急かさなかった業者はどこか
「今日決めてくれたら値引きします」と言った業者はいましたか?
いたなら、その業者は候補から外してください。
誠実な業者は、契約を急かしません。
家族と一緒に見積書を見る
最後に、最も重要なことをお伝えします。
一人で決めないでください。
見積書を家族に見せて、「どう思う?」と聞いてください。
二人で見ると、一人では気づかなかった違和感に気づけます。
- 「この業者だけ、やけに説明が少なくなかった?」
- 「ここ、一式ばかりで分からないね」
- 「この金額の差は何だろう?」
家族の目が入ることで、冷静な判断ができます。
特に、高齢のご両親が外壁塗装を検討している場合は、必ず一緒に見積書を確認してあげてください。
まとめ|金額ではなく「違い」で選ぶ
相見積もりが届いた後、見るべきは金額だけではありません。
- 内訳の詳しさを比較する
- 塗料の明記を確認する
- 保証内容を比較する
- 金額差がある場合は「理由」を質問する
- 決められない時は「説明の丁寧さ」で選ぶ
- 家族と一緒に見積書を確認する
この手順で比較すれば、「安いから」「高いから」ではなく、「納得できるから」という理由で業者を選べます。
まだ比較材料が足りないと感じたら、追加で見積もりを取り寄せてください。


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