外壁塗装の見積もりを取ったとき、こんな疑問を持ったことはありませんか。
「同じ家なのに、なぜ業者によって50万円も違うのか」 「100万円の業者と150万円の業者、何が違うのか」 「外壁塗装って、そんなに費用が変わるものなのか」
見積もりの金額に大きな差があると、不安になります。
安い方がお得なのか、高い方が品質がいいのか、判断がつかない。
建築会社を経営してきた立場から言わせていただくと、外壁塗装の費用に差が出るのは、ごく自然なことです。
ただし、その差には必ず理由があります。
その理由を理解せずに金額だけで判断すると、後から「こんなはずじゃなかった」となることがあります。
結論
外壁塗装の費用に差が出る主な理由は、使用する塗料のグレード、工程の違い、業者の経営形態、含まれている項目の違いです。
金額の差そのものが問題ではなく、「なぜその金額になるのか」を業者が説明できるかどうかが重要です。
安い見積もりには、工程の省略や安価な材料の使用といった理由がある可能性があり、高い見積もりには、過剰な提案や中間マージンの上乗せといった理由がある可能性があります。
大切なのは、金額の根拠を確認し、自分の優先順位に合った業者を選ぶことです。
外壁塗装の価格差については、
「なぜ高くなるケースがあるのか」という視点も合わせて知っておくと、
全体像が整理しやすくなります。
【比較】工程ひとつでここまで変わる!「三度塗り」と「手抜き工程」の価格差
外壁塗装の費用に差が出る理由を、具体的に説明します。
1. 使用する塗料のグレードが違う
外壁塗装の費用を左右する最も大きな要因の一つが、塗料のグレードです。
塗料には、以下のような種類があり、グレードが上がるほど費用も高くなります。
アクリル塗料
- 耐用年数:5〜7年
- 30坪の住宅:60万円〜80万円程度
- 現在はほとんど使われない
ウレタン塗料
- 耐用年数:8〜10年
- 30坪の住宅:80万円〜100万円程度
- 付帯部に使われることが多い
シリコン塗料
- 耐用年数:10〜13年
- 30坪の住宅:100万円〜130万円程度
- 最も一般的
フッ素塗料
- 耐用年数:15〜20年
- 30坪の住宅:130万円〜180万円程度
- 高性能だが初期費用が高い
無機塗料
- 耐用年数:20〜25年
- 30坪の住宅:150万円〜200万円程度
- 最高性能だが非常に高価
A社がシリコン塗料を提案し、B社がフッ素塗料を提案していれば、30〜50万円の差が出ることは自然です。
塗料ごとの特徴や向いているケースについては、こちらでもう少し詳しく整理しています。
2. 同じ「シリコン塗料」でもグレードが違う
さらに複雑なのは、同じ「シリコン塗料」でも、メーカーやグレードで価格が変わることです。
安価なシリコン塗料
- ㎡単価:2,500円〜3,000円
- 耐用年数:10年程度
- 機能はシンプル
高性能なシリコン塗料
- ㎡単価:3,500円〜4,500円
- 耐用年数:12〜13年
- 防汚性・低汚染性などの機能付き
外壁面積が120㎡の場合、塗料だけで12万円〜18万円の差が出ます。
これに中塗り・上塗りの2回分を考えると、24万円〜36万円の差になります。
3. 工程の違い
外壁塗装の工程が違うと、費用も変わります。
基本的な工程
- 足場設置
- 高圧洗浄
- 下地処理(ケレン・ひび割れ補修)
- 養生
- 下塗り
- 中塗り
- 上塗り
- 足場撤去
この中で、以下のような違いが費用差につながります。
高圧洗浄の有無
- ある:2万円〜5万円
- ない:0円(ただし仕上がりに影響)
下塗りの種類
- シーラー:安価
- フィラー:シーラーより1.5〜2倍高い
下地処理の丁寧さ
- 簡易的:時間短縮で安くなる
- 丁寧:時間がかかるが仕上がりが良い
塗り回数
- 二度塗り(下塗り・上塗り):安い
- 三度塗り(下塗り・中塗り・上塗り):基本だが費用がかかる
工程を省略している業者は、費用を安く抑えられますが、仕上がりや耐久性に影響が出る可能性があります。
4. 業者の経営形態が違う
業者の経営形態によって、費用構造が変わります。
自社施工の地元業者
- 下請けに外注しない
- 中間マージンがかからない
- 広告費や営業コストが少ない
- 費用を抑えられる傾向
大手ハウスメーカー・全国展開業者
- 下請けに外注することが多い
- 中間マージンが発生
- 広告費や営業コストが大きい
- 費用が高くなる傾向
同じ工事内容でも、20〜30%の費用差が出ることがあります。
ただし、大手は保証体制が整っている、アフターフォローが充実しているといった利点もあります。
5. 含まれている項目が違う
見積もりに何が含まれているかが、業者ごとに違うことがあります。
A社の見積もり(100万円)
- 外壁塗装のみ
- 足場代・高圧洗浄・下塗り・中塗り・上塗り
B社の見積もり(130万円)
- 外壁塗装
- 雨樋塗装
- 破風板塗装
- シーリング打ち替え
- ひび割れ補修
B社の方が高く見えますが、実際には付帯工事が含まれているだけで、外壁塗装単体の費用はA社と同じかもしれません。
見積もりに何が含まれているかを確認しないと、正しい比較ができません。
6. 面積の計算方法が違う
外壁の面積を、業者がどう計算しているかも費用に影響します。
実測で正確に測る業者
- 外壁面積:120㎡
延べ床面積から概算する業者
- 外壁面積:130㎡(多めに見積もる傾向)
窓や玄関の面積を引く業者、引かない業者
- 引く:外壁面積110㎡
- 引かない:外壁面積120㎡
同じ家でも、計算方法が違えば面積が10〜20㎡変わり、費用も5万円〜10万円変わることがあります。
【比較表あり】塗料グレードを上げると、総額はどこまで変わるのか?
30坪(外壁面積120㎡)の住宅で、塗料によって費用がどれくらい変わるかを示します。
| 塗料の種類 | 塗料代 | その他工事費 | 合計費用目安 |
|---|---|---|---|
| シリコン塗料(標準グレード) | 72万円 | 30万円〜40万円 | 100万円〜110万円 |
| フッ素塗料 | 108万円 | 30万円〜40万円 | 140万円〜150万円 |
| 無機塗料 | 132万円 | 30万円〜40万円 | 160万円〜170万円 |
塗料のグレードを上げるだけで、30万円〜60万円の差が出ます。
工程による費用差の具体例
同じシリコン塗料を使っても、工程の違いで費用が変わります。
標準的な工程(三度塗り)
- 足場:15万円
- 高圧洗浄:3万円
- 下塗り(シーラー):10万円
- 中塗り・上塗り:72万円
- その他(養生・下地処理など):10万円
- 合計:110万円
工程を省略した場合(二度塗り)
- 足場:15万円
- 高圧洗浄:なし(0円)
- 下塗り:なし(0円)
- 上塗り2回:60万円
- その他(養生・下地処理など):5万円
- 合計:80万円
工程を省略すると、30万円安くなりますが、仕上がりや耐久性に影響が出る可能性があります。
経営者の立場から見ると、人件費は比較的削減しやすいコストの一つです。
たとえば、
乾燥時間を短縮して工期を1日早く終わらせるだけでも、数万円のコスト削減になります。
しかし、そのような工期短縮は、数年後の塗膜の劣化や不具合に直結する可能性があります。
安すぎる見積もりの場合、目先の費用を下げるために、
本来必要な工程や時間を削る「将来に影響するコストカット」が行われていないか、
注意して確認することが大切です。
中間マージンの正体|大手ハウスメーカーと地元自社施工店で費用が違う理由
同じ工事内容でも、業者の経営形態で費用が変わります。
自社施工の地元業者
- 工事費用:100万円
- 中間マージン:なし
- 広告費・営業コスト:少ない
- 合計:100万円
大手ハウスメーカー(下請けに外注)
- 工事費用:100万円
- 中間マージン:20万円
- 広告費・営業コスト:10万円
- 合計:130万円
同じ工事をしても、経営形態の違いで30万円の差が出ることがあります。
ハウスメーカーの工事費が高い理由は、中間マージンだけではありません。
独自の厳しい施工基準や、工程管理・品質管理に手間をかけている分の「安心料」も含まれています。
一方で、自社施工の業者でも、社長や職人のこだわりが強く、
手間を惜しまず丁寧な施工を行うことで、
結果的に大手ハウスメーカーより高くなるケースもあります。
そのため、単純に
「中間マージンがある=悪」
と決めつけるのではなく、
価格の背景にある理由を理解した上で判断することが、賢い選択と言えるでしょう。
騙されないために。比較の見積書と「同じ土俵」で比較する方法
見積もりの費用差を正しく理解するために、以下を確認してください。
実際に複数社の見積もりを並べたときの具体的な考え方は、
こちらの記事で詳しく解説しています。
塗料の種類とグレードを確認する
「シリコン塗料」とだけ書かれている場合、具体的な商品名を確認してください。
- メーカー名(例:日本ペイント、関西ペイント、エスケー化研)
- 商品名(例:パーフェクトトップ、アレスダイナミックTOP)
- 耐用年数の目安
同じ「シリコン」でも、グレードで費用が変わります。
工程の内容を確認する
見積もりに以下の項目が含まれているかを確認してください。
- 足場設置・撤去
- 高圧洗浄
- 下塗り(シーラー・フィラーなど)
- 中塗り
- 上塗り
- 下地処理(ひび割れ補修・ケレンなど)
- 養生
これらが含まれていない、または「一式」とまとめられている場合は、内容を確認してください。
含まれている範囲を確認する
外壁塗装だけなのか、付帯部塗装も含まれているのかを確認してください。
- 雨樋塗装は含まれているか
- 破風板塗装は含まれているか
- 雨戸塗装は含まれているか
- シーリング打ち替えは含まれているか
含まれている範囲が違えば、金額が違って当然です。
面積の計算根拠を確認する
外壁面積が何㎡で計算されているかを確認してください。
- 実測したのか、概算なのか
- 窓や玄関の面積は引いているのか
業者ごとに面積が大きく違う場合は、計算方法を確認してください。
「なぜこの金額なのか」を質問する
費用差の理由を、業者に直接聞いてください。
「A社より30万円高いのですが、なぜですか?」
この質問に対して、明確に答えられる業者は信頼できる可能性が高いです。
「塗料のグレードが違う」「付帯部塗装が含まれている」「丁寧な下地処理をしている」など、納得できる理由があるはずです。
説明できない、曖昧な回答しかできない業者は注意が必要です。
【警告】相場より安すぎる見積りに潜む「4つのリスク」
費用が安い見積もりには、以下のような理由がある可能性があります。
工程を省略している
高圧洗浄を省く、下塗りを省く、二度塗りで済ませるなど、工程を省略して費用を抑えている可能性があります。
工程を省略すると、仕上がりや耐久性に影響が出ることがあります。
安価な塗料を使っている
「シリコン塗料」と書かれていても、安価なグレードの塗料を使っている可能性があります。
塗料の商品名を確認し、自分で調べることをおすすめします。
塗布量を減らしている
塗料を規定より薄めたり、塗布量を減らしたりして、材料費を削減している可能性があります。
塗膜が薄いと、耐久性が下がります。
後から追加費用が発生する
見積もりに含まれていない項目が、後から「別料金です」と言われる可能性があります。
「この見積もりに含まれていない項目はありますか?」と確認してください。
【要注意】高い見積=高品質とは限らない?「過剰な提案」を見抜くコツ
費用が高い見積もりには、以下のような理由がある可能性があります。
過剰な工事を提案している
必要のない付帯工事や、過剰な下地処理を提案している可能性があります。
「この工事は本当に必要ですか?」と確認してください。
中間マージンが上乗せされている
元請け業者が下請けに外注する場合、中間マージンが発生します。
自社施工かどうかを確認してください。
広告費や営業コストが価格に反映されている
大手業者や全国展開している業者は、広告費や営業コストが大きく、それが価格に反映されていることがあります。
ブランド料として納得できるなら問題ありませんが、費用を抑えたい場合は、地元の自社施工業者も検討してください。
現役経営者が回答!見積もりの「高い・安い」に関するよくある質問
Q. 安い見積もりと高い見積もり、どちらを選ぶべきですか?
A. 金額だけでなく、内容を確認してから判断してください。
安い理由、高い理由を納得できるまで聞き、自分の優先順位に合った業者を選ぶことが大切です。極端に安い、または高い見積もりは避け、中間の価格帯から選ぶのが現実的です。
Q. 同じ塗料を使っているのに、費用が違うのはなぜですか?
A. 工程の違い、業者の経営形態、含まれている範囲が違う可能性があります。
「同じシリコン塗料」でも、下地処理の丁寧さ、塗布量、乾燥時間の確保など、見えない部分で差が出ることがあります。
Q. 費用差が50万円以上あります。どう判断すればいいですか?
A. まず、条件が揃っているかを確認してください。
塗料の種類、工程数、付帯部塗装の有無、面積の計算方法などを揃えた上で、それでも差がある場合は、その理由を業者に確認してください。
Q. 費用を抑えるために、工程を減らしてもらうことはできますか?
A. 可能ですが、おすすめしません。
工程を減らすと、仕上がりや耐久性に影響が出る可能性があります。費用を抑えたい場合は、塗料のグレードを下げる、付帯部塗装を別の機会にするなど、他の方法を検討してください。
Q. 費用差の理由を業者に聞いても、明確な答えが返ってきません。どうすればいいですか?
A. 説明できない業者は、避けた方が無難です。
誠実な業者なら、費用差の理由を明確に説明してくれます。説明を拒否する、曖昧な回答しかできない業者は、根拠を持って見積もりを作っていない可能性があります。
まとめ|金額の「根拠」を説明できる業者が、あなたにとっての優良業者です
外壁塗装の費用に差が出る主な理由は、使用する塗料のグレード、工程の違い、業者の経営形態、含まれている項目の違いです。
金額の差そのものが問題ではなく、「なぜその金額になるのか」を業者が説明できるかどうかが重要です。
以下の点を確認してください。
- 塗料の種類とグレード(商品名まで確認)
- 工程の内容(高圧洗浄・下塗り・三度塗りなど)
- 含まれている範囲(付帯部塗装・シーリング打ち替えなど)
- 面積の計算根拠
- 「なぜこの金額なのか」を業者に質問する
安い見積もりには、工程の省略や安価な材料の使用といった理由がある可能性があり、高い見積もりには、過剰な提案や中間マージンの上乗せといった理由がある可能性があります。
大切なのは、金額の根拠を確認し、自分の優先順位に合った業者を選ぶことです。
極端に安い、または高い見積もりは避け、中間の価格帯から、説明が納得できる業者を選ぶのが現実的です。
焦らず、納得できるまで確認してから決めてください。
最後に|家族で共有してください
建築会社を経営してきた立場から、最近特に感じていることがあります。
外壁塗装の費用差は、専門知識がない一般の方には非常にわかりにくい部分です。
特に高齢のご両親や祖父母が一人で見積もりを比較している場合、「なぜこんなに金額が違うのか」という疑問を抱えたまま、「安い方でいいだろう」と判断してしまうことも少なくありません。
外壁塗装は、家を長く守るための大切な投資です。
費用差のある見積もりを受け取ったら、ご家族で内容を共有し、この記事でお伝えしたポイントを一緒に確認することをおすすめします。
「なぜこの業者は安いのか」 「なぜこの業者は高いのか」 「塗料や工程に違いはあるか」
こうした点を話し合うことで、より納得できる判断ができます。
一人で抱え込まず、家族や信頼できる人に相談しながら、じっくり時間をかけて業者を選んでください。
金額だけで決めず、費用差の理由を納得できる業者を選ぶことが大切です。
この記事が、あなたとご家族の判断材料の一つになれば幸いです。


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