「10年保証があるから安心」
外壁塗装の業者を選ぶとき、保証年数を重視する方は多いですよね。
でも、ちょっと待ってください。
その保証、本当に10年間有効だと思いますか?
建築会社を経営している立場から、正直に言わせていただきます。
高圧洗浄を適切に行っていない塗装は、保証があっても「対象外」になる可能性が高いんです。
「え、そんなこと聞いてない」
そう思われた方も多いはずです。
実は、多くの保証には「適切な施工が行われた場合に限る」という条件が付いています。
高圧洗浄が不十分、または省略されていた場合、それは「適切な施工」とは言えません。
つまり、数年後に塗膜が剥がれても、
「施工不良ではない」として保証が使えないことがあるんです。
この記事では、現役の建築会社経営者として、
保証を本当に有効にするために絶対に確認すべき「高圧洗浄」の話をします。
なぜ洗浄不足だと、せっかくの保証が「対象外」になるのか
保証があっても、実際には使えないケースがある。
その理由を、現場目線で説明します。
保証には「適切な施工」という前提条件がある
外壁塗装の保証書を見ると、多くの場合、こう書かれています。
「適切な施工が行われた場合に限り、保証いたします」
この「適切な施工」には、以下が含まれます。
- 高圧洗浄が十分に行われていること
- 下地処理(ひび割れ補修・ケレンなど)が適切であること
- 下塗り・中塗り・上塗りが規定通り行われていること
- 各工程の乾燥時間が確保されていること
つまり、高圧洗浄を省略したり、不十分だったりした場合、
それは「適切な施工」とは言えないわけです。
洗浄不足で起きる「密着不良」は保証対象外になりやすい
高圧洗浄が不十分だと、以下のような問題が起きます。
- 古い塗膜やチョーキング(白い粉)が残る
- コケ・カビの根が残る
- 汚れや油分が残る
これらが残ったまま塗装すると、新しい塗料が外壁にしっかり密着しません。
結果、2〜3年で塗膜が剥がれたり、浮いたりします。
この場合、業者は「洗浄は行いました。剥がれは自然劣化です」と主張することがあります。
保証書に「適切な施工」という条件が書かれていると、
洗浄が不十分だった証拠がない限り、保証対象外とされる可能性が高いんです。
洗浄後の乾燥不足も施工不良の原因になる
高圧洗浄を行っても、乾燥時間が不十分だと問題が起きます。
乾燥時間の目安:24時間以上
外壁材が十分に乾く前に塗装すると、以下のリスクがあります。
- 塗料が水分を含んだ下地に密着せず、剥がれやすくなる
- 塗膜の内部に水分が閉じ込められ、膨れや浮きが発生する
洗浄後の乾燥時間が24時間未満の場合、それは「適切な施工」とは言えません。
保証書に「施工基準を満たした場合に限る」と書かれていれば、
乾燥不足による剥がれは保証対象外になる可能性があります。
業者が「洗浄はちゃんとやりました」と言い張れば?
問題は、洗浄が適切だったかどうかを、後から証明することが難しい点です。
施主側が「洗浄が不十分だった」と主張しても、
業者側が「規定通り行いました」と言えば、水掛け論になります。
だからこそ、施工前の段階で、洗浄の内容と乾燥時間を確認し、
写真や記録を残してもらうことが大切なんです。
例えば、数年後にトラブルが起きて保証を請求する際、
この工程写真が
『私は適切な施工を依頼し、業者はそれを行ったはずだ』という唯一の証拠となります。
写真は簡易報告書ではなく、あなたの権利を守る武器なのです。
外壁塗装の「高圧洗浄」で手を抜かせない現役経営者が教える3つのチェック項目
では、具体的にどうやって「手抜き洗浄」を見抜けばいいのか。
現場を見てきた経験から、3つのポイントをお伝えします。
ポイント1:見積書に「高圧洗浄」の項目があるか
まず、見積書を確認してください。
「高圧洗浄」という項目が、明確に記載されているかどうか。
記載があるケース
- 高圧洗浄:3万円(120㎡、250円/㎡)
記載がないケース
- 外壁塗装工事一式:120万円
記載がない場合、以下の可能性があります。
- 「外壁塗装工事一式」に含まれている
- 工程として省略されている(これは要注意)
見積書に記載がない場合は、必ず業者に確認してください。
「高圧洗浄は含まれていますか?」
この質問に対して、明確に「含まれています」と答えられない業者は、注意が必要です。
見積書の「一式」表記に潜むリスクについては、
見積書の「一式」表記に潜むリスクで詳しく解説していますので、
不安を感じた方は確認してみてください。
ポイント2:工程表に「乾燥期間」が確保されているか
見積もりと一緒に、工程表(スケジュール)をもらってください。
工程表に、以下のように乾燥期間が記載されているか確認します。
理想的な工程表の例
- 1日目:足場設置
- 2日目:高圧洗浄
- 3日目:乾燥(作業なし)
- 4日目:下地処理
- 5日目:下塗り
- 6日目:乾燥(作業なし)
- 7日目:中塗り
- 8日目:上塗り
注意が必要な工程表の例
- 1日目:足場設置・高圧洗浄
- 2日目:下地処理・下塗り
- 3日目:中塗り・上塗り
後者の例では、洗浄後の乾燥期間がなく、翌日すぐに下地処理・下塗りに入っています。
これでは、外壁が十分に乾く前に塗装してしまう可能性が高いです。
「雨が降ったらどうなりますか?」と質問してみる
この質問に対して、「工程を調整して、しっかり乾燥させます」と答える業者は誠実です。
「雨でも作業を進めます」「多少濡れていても問題ありません」と答える業者は、注意が必要です。
ポイント3:洗浄後の状態を写真で見せてくれるか
施工中に、洗浄後の状態を写真で見せてもらえるかを確認してください。
「洗浄が終わったら、写真を見せていただけますか?」
この依頼を快く受けてくれる業者は、自分の仕事に自信がある証拠です。
逆に、嫌がる、理由をつけて断る業者は、洗浄をきちんとやっていない可能性があります。
洗浄後の写真で確認すべきポイント
- 古い塗膜の粉(チョーキング)が残っていないか
- コケやカビが残っていないか
- 汚れや油分が残っていないか
これらが残っている場合、洗浄が不十分だと判断できます。
自分の家の洗浄や下地処理が適切か、複数のプロに見解を聞いてみるのも一つの手です。
【比較表あり】外壁塗装の10年保証は意味ない?期間より大切な保証内容の確認方法
保証年数だけを見て業者を選ぶのは、実は危険です。
大切なのは、保証の「中身」です。
保証年数が長くても、内容が曖昧なら意味がない
以下の2つの保証、どちらが安心ですか?
A社:10年保証
- 保証内容:施工不良による剥がれ・浮きを無償で補修
- 条件:適切な施工が行われた場合に限る
- 範囲:外壁塗装部分のみ
- 免責事項:自然災害、経年劣化、お客様の過失による損傷
B社:5年保証
- 保証内容:施工不良による剥がれ・浮き・変色を無償で補修
- 条件:施工写真を記録し、定期点検を実施
- 範囲:外壁塗装+付帯部塗装
- 免責事項:自然災害、お客様の過失による損傷
A社は10年保証ですが、「適切な施工」という曖昧な条件があり、
経年劣化も免責事項に含まれています。
B社は5年保証ですが、施工写真を記録し、定期点検を実施するという具体的な内容があります。
保証年数だけで判断せず、以下を確認してください。
- 何が保証されるのか(剥がれ・浮き・変色など)
- 何が免責事項なのか(自然災害・経年劣化・お客様の過失など)
- 保証を受けるための条件は何か(定期点検・施工写真の記録など)
- 保証は書面で発行されるか
外壁塗装の保証で必ず確認すべき項目については、
外壁塗装の保証で必ず確認すべき項目で詳しく解説していますので、
契約前に確認しておくことをおすすめします。
また、保証期間は何年が妥当なのか、塗料別の目安を知りたい方は、
外壁塗装の保証期間は何年が妥当?も併せてご覧ください。
業者が倒産したら、保証は無効になる
保証期間中に業者が倒産してしまえば、保証は意味をなしません。
特に、個人経営の小規模業者の場合、10年後も営業しているかどうかは不透明です。
だからこそ、第三者保証(瑕疵保険など)が付いているかを確認することが重要です。
第三者保証(瑕疵保険)とは?
第三者機関(保険会社など)が保証する仕組みです。
業者が倒産しても、第三者機関が保証内容を引き継いでくれます。
第三者保証のメリット
- 業者が倒産しても保証が有効
- 施工不良があった場合、第三者機関が調査してくれる
- 保証内容が明確で、免責事項も少ない
第三者保証のデメリット
- 保険料が別途かかる(業者負担または施主負担)
- すべての業者が加入しているわけではない
第三者保証が付いている業者は、施工品質に自信がある証拠でもあります。
見積もりの段階で、「第三者保証(瑕疵保険)は付いていますか?」と確認してみてください。
実は、瑕疵保険に加入するためには
第三者の建築士による現場検査に合格する必要があるのです。
つまり、この保険を提案できる業者は、第三者の厳しい目で見られても構わない施工をしている、という強力な証明書でもあるのです。
保証内容の比較表
| 項目 | A社(10年保証) | B社(5年保証+第三者保証) |
|---|---|---|
| 保証年数 | 10年 | 5年 |
| 保証内容 | 施工不良による剥がれ・浮き | 施工不良による剥がれ・浮き・変色 |
| 免責事項 | 自然災害・経年劣化・お客様の過失 | 自然災害・お客様の過失 |
| 施工写真の記録 | なし | あり |
| 定期点検 | なし | あり(1年ごと) |
| 業者倒産時の対応 | 保証無効 | 第三者機関が引き継ぐ |
保証年数が長いから安心、というわけではありません。
中身を比較することが大切です。
失敗しないために。見積書から業者の誠実さを見抜く方法
最後に、見積書から業者の誠実さを見抜くポイントをお伝えします。
面積の計算根拠が明確か
見積書に、外壁の面積が何㎡で計算されているかを確認してください。
誠実な業者の見積書
- 外壁面積:120㎡(実測)
- 計算方法:外周48m × 高さ5.5m – 窓・玄関面積24㎡ = 120㎡
不透明な業者の見積書
- 外壁面積:記載なし
- または、外壁塗装一式:○○万円
面積の計算根拠が明確な業者は、透明性が高いと言えます。
塗料の商品名が明記されているか
「シリコン塗料」とだけ書かれている見積もりは、不透明です。
同じ「シリコン塗料」でも、メーカーやグレードで性能と価格が変わるからです。
誠実な業者の見積書
- 塗料:日本ペイント パーフェクトトップ(シリコン樹脂塗料)
不透明な業者の見積書
- 塗料:シリコン塗料
塗料の商品名まで明記されている業者は、透明性が高く、
後から「安い塗料に変更された」というトラブルも避けやすいです。
工程ごとの単価が記載されているか
見積書が、工程ごとに分かれて単価が記載されているかを確認してください。
誠実な業者の見積書
- 足場設置・撤去:15万円(200㎡、750円/㎡)
- 高圧洗浄:3万円(120㎡、250円/㎡)
- 下塗り(シーラー):10万円(120㎡、833円/㎡)
- 中塗り・上塗り:72万円(120㎡、3,000円/㎡ × 2回)
不透明な業者の見積書
- 外壁塗装工事一式:120万円
工程ごとに分かれている見積書は、何をどれだけするのかが明確で、比較もしやすいです。
なぜ業者によって見積もり内容が変わるのかについては、
なぜ業者によって見積もり内容が変わるのかで詳しく解説していますので、
見積もりを比較する際に参考にしてください。
不明点を質問したときの対応
見積書を見て、不明点があったら質問してください。
「この項目は何ですか?」 「なぜこの金額になるのですか?」
この質問に対して、丁寧に説明してくれる業者は、誠実です。
逆に、質問を嫌がる、曖昧な回答しかできない業者は、注意が必要です。
相見積もりで迷った時の整理術については、
相見積もりで迷った時の整理術で詳しく解説していますので、
複数の見積もりを比較する際に参考にしてください。
まとめ
外壁塗装の保証を本当に有効にするためには、
「高圧洗浄」が適切に行われているかを確認することが絶対に必要です。
保証があっても、高圧洗浄が不十分だったり、乾燥時間が確保されていなかったりすると、
「適切な施工」とは言えず、保証対象外になる可能性があります。
以下のポイントを確認してください。
- 見積書に「高圧洗浄」の項目が明確に記載されているか
- 工程表に洗浄後の乾燥期間(24時間以上)が確保されているか
- 洗浄後の状態を写真で見せてもらえるか
- 保証内容は明確か(何が保証され、何が免責事項なのか)
- 第三者保証(瑕疵保険)が付いているか
保証年数の長さよりも、保証の中身と、施工の品質が大切です。
高圧洗浄を適切に行い、十分な乾燥時間を確保してくれる業者を選ぶことが、
剥がれない塗装、後悔しない外壁塗装につながります。
見積書の透明性、業者の説明の丁寧さ、不明点への回答の誠実さを見て、
信頼できる業者を選んでください。
後悔しない塗装は、誠実な業者選びから始まります。
まずは信頼できる地元の自社施工店を探してみましょう。
最後に|この記事を家族で共有してください
建築会社を経営してきた立場から、最近特に感じていることがあります。
「10年保証があるから安心」という言葉を信じて、
高圧洗浄の重要性を知らないまま契約してしまう方が後を絶ちません。
特に高齢のご両親や祖父母が一人で業者と話を進めている場合、
「保証があれば大丈夫」と安心してしまい、施工内容まで確認しないことも少なくありません。
外壁塗装は、家を長く守るための大切な投資です。
この記事を、ご家族で共有してください。
- 「高圧洗浄は見積もりに含まれているか」
- 「乾燥期間は確保されているか」
- 「保証の中身は明確か」
こうした点を一緒に確認することで、より納得できる判断ができます。
一人で抱え込まず、家族や信頼できる人に相談しながら、
じっくり時間をかけて業者を選んでください。
保証があっても、それが本当に有効なのかを確認することが大切です。
焦らず、納得できるまで確認してから契約してください。
この記事が、あなたとご家族の判断材料の一つになれば幸いです。


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