外壁塗装の見積もりに感じる「違和感」は、ほぼ正しい
外壁塗装の見積もりを手にして、
「何が書いてあるのかよく分からない」
「本当にこの金額が妥当なのか不安」
「業者の説明がどこか曖昧で、はぐらかされている気がする」
このような違和感を覚える方は非常に多いです。
そして、その感覚はほぼ間違っていません。
私は建築会社を経営する立場として、これまで数百件以上の外壁塗装の見積もりを見てきました。
その中で強く感じるのは、多くの見積もりが
「施主にとって不利な作り」になっているという現実です。
今回は、業界の内側にいるからこそ分かる
「危険な外壁塗装の見積もりの特徴」と、その見抜き方 を包み隠さず解説します。
では、そもそもなぜ
このような「分かりにくく、不安を感じる見積もり」
が当たり前のように出てくるのでしょうか。
実はその背景には、
外壁塗装業界特有の構造的な問題があります。
その一つが、
「3度塗りが守られていない現場が少なくない」
という現実です。
この業界構造については、
以下の記事で詳しく解説しています。
なぜ外壁塗装の見積もりは「分かりにくい」のか
見積もりが複雑に作られている本当の理由
外壁塗装の見積もりが分かりにくい最大の理由。それは、「比較されないため」です。
- 専門用語を多用する
- 数量や単価を曖昧にする
- 工程を「一式」でまとめる
こうした見積もりは、施主が内容を理解しづらく、
結果として業者の言い値で契約されやすくなります。
これは偶然ではなく、意図的にそう作られているケースが少なくありません。
知識がない施主ほど損をする業界構造
外壁塗装は、一般の方にとって人生で数回しか経験しない工事です。
一方で、業者側は毎日見積もりを作り、毎日現場に出ています。
この圧倒的な情報格差がある限り、「知らない側が損をする」構造から抜け出せません。
私が何度も目にしてきたのは、
- 本来150万円が適正な工事に、250万円の見積もりが出されるケース
- 逆に、80万円という安さで釣り、後から50万円の追加費用を請求されるケース
どちらも、施主が「相場を知らない」ことを前提に成立しています。
「違和感=気のせい」で終わらせてはいけない理由
「プロが言うなら大丈夫だろう」
「細かく聞くのは失礼かもしれない」
こうして違和感を飲み込んでしまうと、
後から高額な追加費用や手抜き工事に気づいても手遅れになります。
契約書にサインをした時点で、法的には「合意した」ことになります。
たとえ内容を理解していなくても、です。
要注意|外壁塗装の見積もりでよくある「おかしいポイント」
以下は、実際に私が現場や相談の中で「これは危ない」と判断してきた、
典型的な見積もりパターンです。
❌ パターン1:「塗装工事一式」としか書かれていない
最も要注意なのがこのパターンです。
悪い見積もりの例:
外壁塗装工事一式 1,200,000円
足場代 200,000円
諸経費 150,000円
───────────────────
合計 1,550,000円
この見積もりの問題点は、
- どの塗料を使うのか不明
- 何回塗るのか不明
- 面積の根拠が不明
- 工程の詳細が一切分からない
つまり、手抜きされても確認のしようがないのです。
良い見積もりの例:
【外壁塗装工事】
外壁面積:150㎡
下塗り(日本ペイント パーフェクトサーフ)
150㎡ × @800円 = 120,000円
中塗り(日本ペイント パーフェクトトップ ND-012)
150㎡ × @1,200円 = 180,000円
上塗り(日本ペイント パーフェクトトップ ND-012)
150㎡ × @1,200円 = 180,000円
高圧洗浄 150㎡ × @300円 = 45,000円
養生・マスキング 一式 = 80,000円
───────────────────
小計 605,000円
【足場工事】
足場設置・解体 180㎡ × @800円 = 144,000円
メッシュシート 180㎡ × @150円 = 27,000円
───────────────────
小計 171,000円
【その他】
産業廃棄物処理費 30,000円
現場管理費 50,000円
───────────────────
合計 856,000円
優良業者ほど、工程を分けて詳細に記載します。
❌ パターン2:塗料のメーカー名・商品名が記載されていない
「シリコン塗料使用」「高耐久塗料使用」
この表記だけでは何も分かりません。
シリコン塗料といっても、
- 1缶3,000円のものから30,000円のものまである
- 耐用年数も8年〜15年と幅がある
- メーカーによって品質が全く異なる
「高級車使用」と言われて、軽自動車が来るかレクサスが来るか分からない状態と同じです。
必ず確認すべき情報:
- メーカー名(例:日本ペイント、エスケー化研、関西ペイント)
- 商品名(例:パーフェクトトップ、プレミアムシリコン)
- 色番号(例:ND-012)
これらが全て記載されている見積もりが、最低限の誠実さの証です。
❌ パターン3:塗装面積(㎡)の根拠が不明
外壁塗装の費用は、面積×単価で決まります。
ところが、この「面積」が曖昧な見積もりが驚くほど多いのです。
よくある水増し手口:
実際の外壁面積は130㎡なのに、見積もりには180㎡と記載。
130㎡ × @1,500円 = 195,000円(適正価格)
↓
180㎡ × @1,500円 = 270,000円(請求額)
差額75,000円が業者の懐に入ります。
施主が面積を測ることは現実的に困難です。だからこそ、この手口が横行しています。
対策:
- 「面積の算出根拠を教えてください」と質問する
- 図面がある場合は、それを元に計算してもらう
- 複数社の見積もりで面積を比較する
❌ パターン4:相場より極端に安い・高い金額
私の経験上、外壁塗装の適正価格は以下の通りです。
一般的な2階建て住宅(延床面積100〜120㎡)の場合:
- 下限:80万円前後
- 適正価格:100〜130万円
- 上限:150万円前後
※使用する塗料のグレードや建物の状態により変動
60万円台の見積もりが出てきたら、必ず理由があります。
- 下塗りを省略する
- 塗料を規定以上に薄める
- 2度塗りで終わらせる
- 足場代を後から追加請求する
200万円を超える見積もりも要注意です。
- 必要のない工事が含まれている
- 単価が異常に高く設定されている
- 「知識がない施主」と判断されている
どちらにしても、適正価格から大きく外れた見積もりには、必ず理由があります。
❌ パターン5:足場代が不自然に高い(または安すぎる)
足場代は、地域や建物の形状にもよりますが、一般的な2階建てで15〜25万円前後が相場です。
足場代が5万円という見積もりを見たことがあります。これは、
- 後から追加請求される
- 他の項目に上乗せされている
- 安全性を無視した簡易足場
のいずれかです。
逆に、足場代が50万円という見積もりも見たことがあります。これは明らかに水増しです。
足場代は、他の項目と比べて施主が相場を知らないため、調整弁として使われやすい項目です。
現場経験者が見る「危険な見積もり」の具体例
危険な見積もり①:3度塗り表記でも工程の内訳がない
「3度塗りします」と口では言いながら、見積書には、
外壁塗装(3度塗り) 1,000,000円
これだけしか書かれていないケース。
この見積もりの問題点:
- 下塗り材が何か分からない
- 中塗り・上塗りが同じ塗料か分からない
- 各工程の単価が分からない
- 実際に3度塗るかどうか確認できない
前回の記事でも解説しましたが、3度塗りは外壁塗装の基本です。しかし、その基本すら守られない現場を、私は何度も目にしてきました。
見積書に「下塗り」「中塗り」「上塗り」が分けて記載されていない場合、それは赤信号です。
危険な見積もり②:高耐久塗料なのに耐用年数の説明がない
「この塗料は高耐久で長持ちします」
こう説明されても、見積書に、
- 耐用年数の記載がない
- メーカー保証の説明がない
- メンテナンス周期の提示がない
これでは、何を根拠に「高耐久」と言っているのか分かりません。
優良業者の見積もりには、必ずこう記載されています:
使用塗料:日本ペイント パーフェクトトップ
・耐用年数:12〜15年
・メーカー保証:あり(施工店による保証)
・次回メンテナンス目安:10年後
この情報がない見積もりは、業者自身が塗料の特性を理解していない可能性があります。
危険な見積もり③:追加工事が前提になっている
「実際に剥がしてみないと分からないので…」
「外壁の状態次第で追加費用が発生します」
このフレーズが何度も出てくる業者には注意が必要です。
**確かに、外壁を剥がしてみないと分からない部分はあります。
しかし、事前調査をきちんと行えば、ある程度は予測できるはずです。
私が実際に見たケースでは、
- 当初見積もり:120万円
- 追加工事①:下地補修 +30万円
- 追加工事②:軒天塗装 +15万円
- 追加工事③:雨樋交換 +20万円
- 最終支払額:185万円
契約時から65万円の上乗せです。
優良業者は、事前調査の段階で追加工事の可能性を説明し、概算額を提示します。
危険な見積もり④:保証内容が曖昧、または書かれていない
保証に関する記載が、
「当社独自の保証制度があります」
「アフターフォローは万全です」
これだけでは、何の意味もありません。
見積書に明記すべき保証内容:
- 保証期間(例:施工後5年間)
- 保証範囲(例:塗膜の剥離・膨れ・変色)
- 保証条件(例:定期点検の実施)
- 保証書の発行有無
これらが書面で残らない限り、トラブル時に「言った・言わない」の水掛け論になります。
私が知る限り、保証内容を明確に書けない業者は、そもそも保証する気がありません。
このチェックだけは必須|見積もり確認5つのポイント
数多くのチェックポイントがありますが、最低限この5つだけは必ず確認してください。
✅ チェック1:使用する塗料のメーカー名・商品名
「シリコン塗料」ではなく、「日本ペイント パーフェクトトップ」まで記載されているか。
この情報があれば、自分でメーカーサイトを調べて、
- 本当にその性能があるのか
- 適正価格はいくらか
- 施工方法は正しいか
を確認できます。
✅ チェック2:塗装面積(㎡)と使用缶数
面積が記載されていても、それが正確とは限りません。
確認方法:
塗料のカタログには「塗布面積」が記載されています(例:1缶で50㎡を2回塗れる)。
外壁面積150㎡ × 3回塗り = 450㎡分の塗料が必要
450㎡ ÷ 50㎡/缶 = 9缶
見積書に記載された缶数と照らし合わせることで、計算が合っているか確認できます。
✅ チェック3:下塗り・中塗り・上塗りの明記
見積書に、
下塗り:○○(メーカー名・商品名)
中塗り:○○(メーカー名・商品名)
上塗り:○○(メーカー名・商品名)
このように分けて記載されているかを確認してください。
「塗装工事一式」では、何も分かりません。
✅ チェック4:工期と作業日数
外壁塗装には、適切な乾燥時間が必要です。
一般的な2階建て住宅の標準工期:
- 足場設置:1日
- 高圧洗浄:1日
- 乾燥:1日
- 下塗り:1日
- 乾燥:1日
- 中塗り:1日
- 乾燥:1日
- 上塗り:1日
- 足場解体:1日
- 合計:9〜10日程度
「5日で完了します」という業者は、乾燥時間を無視している可能性があります。
✅ チェック5:保証内容の記載
口頭での約束は、後から証明できません。
見積書、または契約書に、
- 何年保証なのか
- どこまで保証されるのか
- どのような条件で保証が適用されるのか
これらが明記されているかを必ず確認してください。
この5つをクリアしている見積もりなら、まず安心して良いでしょう。
おかしい見積もりを見抜く一番確実な方法
相見積もりを取ると何が分かるのか
複数社の見積もりを並べると、驚くほど違いが見えてきます。
見積もりを3社取った場合の実例:
A社:
- 外壁塗装工事一式 1,500,000円
- 足場代 200,000円
- 諸経費 150,000円
- 合計:1,850,000円
B社:
- 下塗り(日本ペイント パーフェクトサーフ)120,000円
- 中塗り(日本ペイント パーフェクトトップ)180,000円
- 上塗り(日本ペイント パーフェクトトップ)180,000円
- 高圧洗浄・養生 125,000円
- 足場設置・解体 171,000円
- その他 80,000円
- 合計:856,000円
C社:
- 外壁塗装(シリコン塗料3度塗り)650,000円
- 足場代 50,000円(サービス価格)
- 合計:700,000円
同じ建物、同じ条件でも、100万円以上の差が出ることは珍しくありません。
そして重要なのは、安ければ良いわけではないということです。
- A社:詳細不明で高額
- B社:詳細で適正価格
- C社:安すぎて不安
この違いは、1社だけでは絶対に分かりません。
一括見積もりサービスを利用すれば、こうした比較が無料で簡単にできます。
※現在準備中
見積もりを比較する際の正しい見方
相見積もりを取ったら、金額だけでなく以下も比較してください。
比較ポイント①:内訳の細かさ
- 工程が分けて記載されているか
- 使用塗料が明記されているか
- 面積の根拠が示されているか
比較ポイント②:質問への回答
- 質問に対して丁寧に答えてくれるか
- 専門用語を分かりやすく説明してくれるか
- 追加質問を嫌がらないか
比較ポイント③:修正対応の早さ
- 見積もりの修正依頼に応じてくれるか
- 対応のスピードはどうか
- 柔軟性があるか
これらは全て、施工品質とアフターフォローに直結します。
業者の説明力=施工品質の目安になる理由
私は長年この業界にいて、一つの法則に気づきました。
説明が丁寧な業者ほど、施工も丁寧です。
なぜなら、
- 自分の仕事に自信があるから説明できる
- 施主に理解してもらおうという誠意がある
- 後からトラブルにならないよう配慮している
逆に、説明を濁す業者は、
- 施工内容に自信がない
- 質問されると困ることがある
- トラブルになっても逃げられると考えている
質問に不機嫌になる業者は、その時点で候補から外すべきです。
外壁塗装で失敗しないために知っておくべきこと
安さだけで業者を選ぶリスク
「少しでも安く」という気持ちは分かります。外壁塗装は決して安い買い物ではありません。
しかし、「安い=得」では絶対にありません。
安さの裏には、必ず理由があります。
- 工程を省略する
- 塗料を薄める
- 未熟な職人を使う
- 保証をつけない
そして、数年後に塗膜が剥がれ、再度塗装が必要になる。
結果的に、2倍以上の費用がかかるケースを私は何度も見てきました。
適正価格で、適切な施工をする業者を選ぶ。これが最も経済的です。
質問を嫌がる業者は要注意
見積もりの段階で、
「細かいことは分からなくていいですよ」
「プロに任せてください」
「そんなこと聞かれても困ります」
こうした反応をする業者は、施工後のトラブル対応も期待できません。
**優良業者は、どんな質問にも丁寧に答えます。
それどころか、「よく勉強されていますね」と施主の知識を歓迎します。
なぜなら、知識のある施主ほど、
- 適切な判断をしてくれる
- 無理な要求をしない
- トラブルが少ない
ことを知っているからです。
知識を持つ施主が業界を健全にする
私がこうして業界の実態を公開するのは、一つの信念があるからです。
「知識を持つ施主が増えれば、悪徳業者は淘汰される」
悪徳業者が成立するのは、「知らない施主」がいるからです。
施主が知識を持ち、比較し、適切な判断をすれば、
誠実な業者が選ばれ、悪徳業者は仕事を失います。
これは、業界全体の健全化につながります。
真面目に仕事をしている職人や業者が、正当に評価される。そんな業界を作りたいのです。
まとめ|見積もりに違和感を覚えたら立ち止まる
外壁塗装の見積もりに「おかしい」と感じたら、それは重要なサインです。
その違和感を無視しないでください。
- 内容を確認する
- 複数社と比較する
- 納得するまで契約しない
これが失敗しないための基本です。
契約書にサインをする前なら、まだ引き返せます。しかし、サインをした後では手遅れです。
今日から始める、失敗しない業者選び
この記事を読んで「今すぐ動きたい」と思われた方へ、具体的な次のステップをご提案します。
ステップ1:まずは相見積もりから
外壁塗装を検討されている方は、必ず複数社から見積もりを取ることをお勧めします。
一括見積もりサービスを利用すれば、
- 審査済みの優良業者のみと出会える
- 無料で複数社を比較できる
- しつこい営業を受けるリスクが少ない
- 匿名で利用できるサービスもある
※現在準備中
ステップ2:この記事のチェックポイントを活用
見積もりが届いたら、この記事で解説した「5つのチェックポイント」で内容を確認しましょう。
- 使用する塗料のメーカー名・商品名
- 塗装面積(㎡)と使用缶数
- 下塗り・中塗り・上塗りの明記
- 工期と作業日数
- 保証内容の記載
ステップ3:不明点は遠慮なく質問
優良業者は、どんな質問にも誠実に答えてくれます。
この記事を見せながら、「下塗り・中塗り・上塗りの工程を詳しく教えてください」と聞いてみるのも良いでしょう。
その反応で、業者の質が見えてきます。
この記事が、皆さんの大切な住まいを守るための判断材料となれば幸いです。
業界全体がより誠実で透明性の高いものになるよう、これからも現場の実態を発信し続けます。

コメント