「契約した金額と違う請求が来た」
「工事中に『追加工事が必要』と言われて断れなかった」
「最終的に見積もりの1.5倍になった」
外壁塗装で、こんな経験をされた方はいませんか。
建築会社を経営してきた立場から、正直に言わせていただきます。
追加請求のすべてが悪質というわけではありません。
しかし、意図的に安い見積もりで契約させ、
後から追加費用を請求する業者が存在するのも事実です。
追加請求トラブルの多くは、契約前の確認不足が原因です。
逆に言えば、事前に正しい知識を持っておけば、ほとんどのトラブルは防げます。
この記事では、外壁塗装の追加請求でよくある手口と、被害に遭わないための対策、
そして追加請求された場合の対処法を解説します。
この記事でわかること
- 追加請求が発生する正当なケースと悪質なケース
- 追加請求でよくある手口
- 追加請求を防ぐための契約前の確認ポイント
- 追加請求された場合の対処法
結論:追加請求は「契約前の確認」と「書面での合意」で防げる
外壁塗装の追加請求トラブルを防ぐポイントは、以下の3つです。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| 契約前 | 追加費用が発生する条件を書面で確認 |
| 工事中 | 追加工事は必ず書面で見積もりをもらってから承認 |
| 請求時 | 契約書・見積書と照らし合わせて確認 |
追加請求されても、契約書に記載がなければ支払う必要はありません。
「言った・言わない」のトラブルを防ぐために、すべて書面で残すことが大切です。
追加請求が発生する2つのパターン
追加請求には、「正当なケース」と「悪質なケース」があります。
パターン1:正当な追加請求
以下のような場合は、追加費用が発生することがあります。
正当な追加請求の例
- 事前調査で分からなかった下地の劣化が見つかった
- 施主の希望で仕様を変更した(塗料のグレードアップなど)
- 契約時に「別途」と明記されていた項目
- 天候の影響で工期が大幅に延びた(足場延長費用など)
これらは、事前に予測できなかった、または施主の希望による変更なので、
追加費用が発生するのは仕方ありません。
ただし、追加工事を行う前に、必ず見積もりを提示して施主の承認を得るべきです。
パターン2:悪質な追加請求
以下のような場合は、悪質な追加請求の可能性があります。
悪質な追加請求の例
- 事前調査で分かるはずの劣化を、工事開始後に指摘する
- 見積もりに含まれているはずの項目を「別料金」と言う
- 承認なく工事を進めて、後から請求する
- 「やらないと工事が続けられない」と脅す
これらは、意図的に安い見積もりで契約させ、後から追加費用を請求する手口です。
追加請求でよくある5つの手口
実際によくある追加請求の手口を紹介します。
手口1:「下地が予想以上に傷んでいた」
典型的なパターン
見積もり金額:100万円で契約
工事開始後、「下地が予想以上に傷んでいました。補修に追加で30万円必要です」と言われる。
「このまま塗装しても剥がれますよ」と脅され、しぶしぶ承諾。
最終支払額:130万円
問題点
下地の状態は、事前調査で確認できるはずです。
きちんとした業者なら、契約前に外壁の状態を詳しく調べ、必要な補修を見積もりに含めます。
「予想以上に傷んでいた」は、事前調査が不十分だったか、
意図的に見積もりから外していた可能性があります。
手口2:「シーリングの打ち替えが必要」
典型的なパターン
見積もり金額:90万円で契約
工事開始後、「シーリング(コーキング)が劣化しているので、打ち替えが必要です。
追加で20万円かかります」と言われる。
最終支払額:110万円
問題点
シーリングの状態は、事前に目視で確認できます。
外壁塗装の見積もりを取る際、シーリングの打ち替えが必要かどうかは、
事前調査の段階で判断できるはずです。
契約後に「必要」と言い出すのは、意図的に見積もりから外していた可能性があります。
手口3:「付帯部の塗装は別料金」
典型的なパターン
見積もり金額:80万円で契約
工事中に「雨樋や破風板の塗装は、見積もりに含まれていません。追加で15万円かかります」と言われる。
「見積書を見せてください」と言うと、「外壁塗装一式」としか書かれていない。
最終支払額:95万円
問題点
「外壁塗装一式」という曖昧な記載では、何が含まれているか分かりません。
付帯部(雨樋・破風板・軒天など)の塗装が含まれているかどうか、契約前に確認すべきです。
見積書の「一式」表記に潜むリスクについては、
外壁塗装の見積もり「一式」が多いときに注意すべきポイントで詳しく解説しています。
手口4:「足場の延長費用がかかる」
典型的なパターン
見積もり金額:100万円で契約
工事中に雨が続き、工期が延びる。
「足場のレンタル期間が延びたので、追加で10万円かかります」と言われる。
最終支払額:110万円
問題点
天候による工期延長は、ある程度予測できます。
誠実な業者なら、見積もりの段階で「天候により工期が延びる場合があります」と説明し、
追加費用の有無も明確にします。
契約書に「天候による工期延長の場合、追加費用は発生しない」と記載があれば、
支払う必要はありません。
手口5:「やらないと工事が続けられない」と脅す
典型的なパターン
工事中に追加工事を提案される。
「この補修をしないと、工事が続けられません」
「このまま塗装しても、すぐに剥がれますよ」
「足場を組み直すと、さらに費用がかかります」
断りにくい状況で、承諾させられる。
問題点
これは、施主の弱い立場を利用した悪質な手口です。
工事が始まってしまうと、「ここでやめたら中途半端になる」という心理が働きます。
業者はそれを分かっていて、契約後に追加請求してくるのです。
追加請求を防ぐための契約前の確認ポイント
追加請求トラブルは、契約前の確認で防げます。
確認ポイント1:見積書が詳細に書かれているか
「外壁塗装一式」ではなく、項目ごとに分かれた見積書をもらってください。
確認すべき項目
- 高圧洗浄
- 下地補修(ひび割れ補修、シーリング)
- 下塗り・中塗り・上塗り
- 付帯部塗装(雨樋・破風板・軒天など)
- 足場費用
- 養生費用
これらが明記されていない場合、後から「別料金」と言われる可能性があります。
見積書の見方については、
外壁塗装の見積書の見方|項目ごとの正しい読み解き方で詳しく解説しています。
確認ポイント2:追加費用が発生する条件を確認
契約前に、以下を質問してください。
質問例
- 「追加費用が発生する可能性はありますか?」
- 「どのような場合に追加費用がかかりますか?」
- 「追加費用が発生する場合、事前に見積もりを出していただけますか?」
誠実な業者なら、明確に答えてくれます。
曖昧な回答しかできない業者は、注意が必要です。
確認ポイント3:契約書に追加費用の条件を明記
契約書に、以下の内容が記載されているか確認してください。
契約書に記載すべき内容
- 追加費用が発生する条件
- 追加工事を行う場合は、事前に見積もりを提示し、施主の書面による承認を得ること
- 承認なく行った工事については、追加費用を請求しない
これらが契約書に記載されていれば、「言った・言わない」のトラブルを防げます。
契約書の確認ポイントについては、
外壁塗装の契約書で確認すべき重要ポイントで詳しく解説しています。
確認ポイント4:事前調査が丁寧かどうか
事前調査が雑な業者は、追加請求のリスクが高いです。
丁寧な事前調査のポイント
- 外壁の状態を細かく確認している
- ひび割れやシーリングの劣化を写真で記録している
- 下地の状態を説明してくれる
- 必要な補修を見積もりに含めている
事前調査が10分程度で終わる業者は、注意が必要です。
確認ポイント5:複数の業者から見積もりを取る
1社だけの見積もりでは、その内容が適切かどうか判断できません。
最低でも2〜3社から見積もりを取り、以下を比較してください。
- 見積もり金額
- 項目の詳細さ
- シーリングや下地補修が含まれているか
- 付帯部塗装が含まれているか
複数の見積もりを比較することで、「何が含まれているべきか」が見えてきます。
相見積もりの取り方については、
外壁塗装の相見積もりは何社がベスト?で詳しく解説しています。
工事中に追加工事を提案された場合の対処法
工事中に追加工事を提案された場合、以下の手順で対処してください。
ステップ1:その場で承諾しない
「今すぐ決めないと工事が止まります」と言われても、その場で承諾しないでください。
断り方の例
「家族と相談してから決めます」
「書面で見積もりをいただいてから判断します」
「少し時間をください」
ステップ2:追加工事の見積もりを書面でもらう
口頭の説明だけで承諾しないでください。
必ず書面で見積もりをもらい、以下を確認してください。
- 追加工事の内容
- 追加工事の金額
- 追加工事が必要な理由
ステップ3:必要性を確認する
追加工事が本当に必要かどうか、以下を確認してください。
確認すべきこと
- なぜ事前調査で分からなかったのか
- この工事をしないとどうなるのか
- 本当に今やる必要があるのか
納得できない場合は、別の業者にセカンドオピニオンを求めることも検討してください。
ステップ4:承諾する場合は書面で合意
追加工事を承諾する場合は、必ず書面で合意してください。
書面に記載すべき内容
- 追加工事の内容
- 追加工事の金額
- 施主の署名・日付
口頭だけの承諾は、後から「言った・言わない」のトラブルになります。
追加請求された場合の対処法
すでに追加請求された場合、以下の手順で対処してください。
対処法1:契約書・見積書を確認する
まず、契約書と見積書を確認してください。
確認すべきポイント
- 請求された項目が、見積書に含まれていないか
- 契約書に「追加費用は事前承認が必要」と書かれていないか
- 追加工事を承諾した書面があるか
契約書に記載がない追加費用は、支払う必要がない可能性があります。
対処法2:業者に説明を求める
請求内容に疑問がある場合、業者に説明を求めてください。
質問例
- 「この項目は、見積書のどこに含まれていますか?」
- 「追加工事を承諾した書面はありますか?」
- 「なぜ事前に説明がなかったのですか?」
業者が明確に説明できない場合は、支払いを保留してください。
対処法3:消費生活センターに相談する
業者と話し合いがつかない場合は、消費生活センターに相談してください。
消費者ホットライン:188(いやや)
消費生活センターでは、以下のサポートを受けられます。
- 契約内容の確認
- 業者との交渉方法のアドバイス
- 必要に応じて、業者への働きかけ
対処法4:支払いを拒否する
契約書に記載がなく、承諾もしていない追加費用は、支払いを拒否できます。
拒否の伝え方
「この追加費用について、契約書に記載がなく、私も承諾していません。
したがって、この費用をお支払いする義務はないと考えます。
契約書に基づいた金額のみお支払いいたします。」
書面(メールまたは内容証明郵便)で伝えると、記録が残ります。
被害に遭った場合の詳しい対処法については、
外壁塗装で騙された事例と対処法で解説しています。
よくある質問
Q. 追加請求は、すべて悪質なのですか?
A. いいえ、正当な追加請求もあります。
事前調査で分からなかった劣化が見つかった場合や、施主の希望で仕様を変更した場合は、
追加費用が発生することがあります。ただし、追加工事を行う前に、
必ず見積もりを提示して施主の承認を得るべきです。
Q. 工事中に追加工事を断ったら、工事を中断されますか?
A. 誠実な業者なら、中断しません。
追加工事を断っても、契約した内容の工事は進めるべきです。
「追加工事を承諾しないと工事を続けられない」と言う業者は、悪質な可能性があります。
Q. 追加費用を払わないと、工事を完了してもらえませんか?
A. 契約した内容の工事は、完了させる義務があります。
追加費用の支払いと、契約内容の工事は別の問題です。
追加費用について争いがあっても、契約した内容の工事は完了させてもらう権利があります。
Q. 追加請求を防ぐために、契約時に確認すべきことは何ですか?
A. 以下を確認してください。
- 見積書が項目ごとに詳細に書かれているか
- 追加費用が発生する条件が明記されているか
- 追加工事は事前承認が必要と契約書に記載されているか
- シーリングや下地補修が見積もりに含まれているか
Q. すでに追加費用を払ってしまいました。取り戻せますか?
A. 状況によっては、取り戻せる可能性があります。
契約書に記載がなく、承諾もしていない追加費用を支払った場合、
消費生活センターや弁護士に相談してください。
不当な請求だった場合、返金を求められる可能性があります。
まとめ:追加請求は「契約前の確認」で防げる
外壁塗装の追加請求トラブルを防ぐポイントをまとめます。
契約前の確認
- 見積書が項目ごとに詳細に書かれているか
- 追加費用が発生する条件を確認
- 契約書に「追加工事は事前承認が必要」と記載
- 事前調査が丁寧かどうか確認
- 複数の業者から見積もりを取って比較
工事中の対応
- 追加工事を提案されても、その場で承諾しない
- 必ず書面で見積もりをもらう
- 承諾する場合は書面で合意
追加請求された場合
- 契約書・見積書を確認
- 業者に説明を求める
- 納得できなければ、消費生活センター(188)に相談
- 契約書に記載がない追加費用は、支払いを拒否できる
追加請求トラブルの多くは、契約前の確認不足が原因です。
「言った・言わない」のトラブルを防ぐために、すべて書面で残すことを心がけてください。
業者選びで迷っている方は、複数の業者に見積もりを依頼して比較することをおすすめします。
最後に|家族で共有してください
建築会社を経営してきた立場から、最近特に感じていることがあります。
追加請求トラブルは、「断りにくい状況」で起きることが多いです。
工事が始まってしまうと、
「ここでやめたら中途半端になる」「業者との関係が悪くなる」という心理が働きます。
特に高齢のご両親や祖父母が一人で対応している場合、
「業者が言うなら必要なのかも」と承諾してしまうことがあります。
この記事を、ご家族で共有してください。
「追加工事を提案されたら、まず連絡してね」
「その場で承諾しないで、一緒に確認しよう」
「見積もりを書面でもらってね」
この一言が、大切な家族を守ることにつながります。
外壁塗装は、家を長く守るための大切な投資です。
追加請求トラブルに巻き込まれず、納得のいく工事ができることを願っています。
一人で抱え込まず、家族や消費生活センターに相談してください。
この記事が、あなたとご家族を守る一助になれば幸いです。


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