結論|劣化状況と予算で判断する
外壁塗装と屋根塗装を同時にやるべきか、別々にすべきか。
この判断は、あなたの家の状況によって変わります。
同時にやった方がいいケース
- 外壁と屋根の劣化が同時期に進んでいる
- 前回の塗装時期が近い(または両方とも初めて)
- 予算に余裕がある
- 今後10年以上住み続ける予定
別々にやった方がいいケース
- 外壁と屋根の劣化度合いが大きく異なる
- 前回の塗装時期が大きくずれている
- 予算を分散させたい
- 近いうちに建て替えや売却を検討している
私は建築会社の経営者として、これまで何百件もの外壁・屋根塗装を手がけてきましたが、
「業者に勧められたから一緒にやった」という方の中には、
後で「本当は別々でもよかったのでは」と感じている方も少なくありません。
この記事では、同時にやるメリット・デメリット、別々にやる場合の考え方、
そして業者の提案の見極め方について、現場の立場から正直にお伝えします。
大切なのは、「業者の都合」ではなく「あなたの家の状況」で判断することです。
なぜこの疑問が生まれるのか
外壁塗装を検討すると、多くの業者から「屋根も一緒にやりませんか?」と提案されます。
この提案自体は悪いことではありません。実際、同時施工にはメリットがあります。
ただし、すべての家で同時施工が最適とは限りません。
業者が一緒に勧める理由
業者が外壁と屋根の同時施工を勧める理由は、主に以下の3つです。
① 足場を共有できる
外壁塗装でも屋根塗装でも、足場は必要です。同時に施工すれば、足場を一度組むだけで済むため、コストを抑えられます。
② 工期が短縮される
別々にやると、それぞれで足場の組み立て・解体が必要になり、工期が長くなります。
同時施工なら、一度の工事で完結します。
③ 受注金額が大きくなる
正直に言えば、業者にとっては一度に大きな金額を受注できるメリットがあります。
これ自体は悪いことではありませんが、施主にとって本当に必要かどうかは別の話です。
施主が混乱しやすい理由
「一緒にやった方がお得」と言われると、多くの方は「そうなのか」と納得してしまいます。
しかし、以下のような疑問を感じることも少なくありません。
- 本当に今、屋根も塗装が必要なのか?
- 別々にやると、どれくらい損なのか?
- 業者の言葉をそのまま信じていいのか?
こうした疑問を持つこと自体が、冷静な判断の第一歩です。
同時にやるメリット・デメリット
まずは、外壁と屋根を同時に塗装するメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット①:足場代を節約できる
外壁塗装でも屋根塗装でも、足場は必要です。
一般的な二階建て住宅の場合、足場代は15〜25万円程度かかります。
同時施工なら、この足場代が一度で済むため、トータルで15〜25万円の節約になります。
例
- 外壁のみ:足場代20万円
- 屋根のみ(別の時期):足場代20万円
- 同時施工:足場代20万円(一度で済む)
→ 同時施工で20万円の節約
メリット②:工期が短縮される
外壁と屋根を別々にやると、それぞれで以下の工程が必要です。
- 足場の組み立て・解体
- 高圧洗浄
- 養生
- 塗装
- 片付け
同時施工なら、これらの工程を一度にまとめられるため、工期が短くなります。
また、工事が2回に分かれることで生じる生活の不便さも、一度で済みます。
メリット③:色の統一感が出る
外壁と屋根を同時に塗装すれば、色の統一感を持たせやすくなります。
別々にやると、時期によって塗料の色味が微妙に変わることがあります。
デメリット①:初期費用が高額になる
外壁と屋根を同時にやると、当然ですが一度に支払う金額が大きくなります。
例
- 外壁のみ:80万円
- 屋根のみ:50万円
- 同時施工:130万円(足場代が一度で済むため、単純な合計より安い)
予算に余裕がない場合、一度に130万円を用意するのは負担になります。
デメリット②:本当に必要かどうか判断しにくい
業者から「一緒にやった方がお得」と言われると、冷静に判断しにくくなります。
- 本当に今、屋根も塗装が必要なのか?
- 屋根はあと数年待っても大丈夫なのでは?
こうした疑問を持つことが大切です。
デメリット③:安く見えて高くなるケースがある
「一緒にやれば安くなる」と言われても、実際には以下のようなケースがあります。
- 屋根の塗装面積が実際より多く見積もられている
- 不要な補修が追加されている
- 高額な塗料を勧められている
見積書をしっかり確認しないと、「安くなる」はずが「高くなる」可能性もあります。
見積書の確認方法については、「外壁塗装の見積もりがおかしいと感じたら確認すべきポイント」で詳しく解説しています。
別々にやるメリット・デメリット
次に、外壁と屋根を別々に塗装する場合のメリット・デメリットを見ていきましょう。
メリット①:費用を分散できる
一度に大きな金額を支払うのではなく、費用を分散できます。
例
- 今年:外壁塗装 80万円
- 3年後:屋根塗装 70万円(足場代込み)
合計では150万円と、同時施工より高くなりますが、一度に130万円を用意する必要がありません。
メリット②:本当に必要なタイミングで施工できる
外壁と屋根の劣化は、必ずしも同じペースで進むわけではありません。
- 外壁は10年経っているが、屋根は5年前に塗装したばかり
- 屋根は日当たりが良く劣化が早いが、外壁はまだ大丈夫
こうした場合、無理に同時施工する必要はありません。
本当に必要なタイミングで、必要な箇所だけ施工できます。
メリット③:業者の提案を冷静に判断できる
「一緒にやらないと損」と言われても、「まず外壁だけにします」と言えることで、業者の姿勢が見えてきます。
誠実な業者であれば、「屋根はあと数年待っても大丈夫そうですね」と正直に言ってくれます。
逆に、強く勧めてくる業者は、自分の利益を優先している可能性があります。
デメリット①:トータルでは費用が高くなる
足場を2回組むことになるため、トータルでは15〜25万円程度高くなります。
例
- 同時施工:130万円
- 別々施工:150万円(外壁80万円+屋根70万円)
→ トータルで20万円の差
デメリット②:工事が2回になる
工事が2回に分かれるため、その都度生活に不便が生じます。
- 洗濯物が干せない
- 窓が開けられない
- 駐車場が使えない
- 業者の出入りがある
こうした不便を2回経験することになります。
デメリット③:将来的に足場が組めなくなるリスク
隣家が建て替えなどで近くなった場合、足場が組めなくなる可能性があります。
今は組めても、数年後には組めなくなるケースもあります。
判断基準|どちらを選ぶべきか
同時か別々か、以下の基準で判断してください。
① 劣化状況を確認する
まず、外壁と屋根の劣化状況を確認します。
外壁の劣化症状
- ひび割れ
- 塗膜の剥がれ
- チョーキング(触ると白い粉がつく)
- 色あせ
屋根の劣化症状
- 色あせ
- コケや藻の発生
- 瓦のズレや割れ
- 塗膜の剥がれ
両方に劣化症状が見られる場合は、同時施工を検討する価値があります。
一方だけに劣化が見られる場合は、そちらだけを先に施工することも選択肢です。
外壁の劣化症状については、
「外壁が劣化する原因と症状|放置するとどうなる?」で詳しく解説しています。
② 前回の塗装時期を確認する
確認ポイント
- 外壁の前回塗装:○年前
- 屋根の前回塗装:○年前
両方とも10年以上経っている場合は、同時施工が合理的です。
一方が5年前、もう一方が15年前といった場合は、
劣化が進んでいる方を先に施工する方が現実的です。
③ 使用した塗料を確認する
前回使用した塗料によって、耐用年数が異なります。
| 塗料の種類 | 耐用年数 |
|---|---|
| アクリル | 5〜7年 |
| ウレタン | 8〜10年 |
| シリコン | 10〜15年 |
| フッ素 | 15〜20年 |
外壁がシリコン塗料(10年前)、屋根がフッ素塗料(5年前)といった場合、
まだ屋根は塗装不要の可能性があります。
④ 予算を確認する
同時施工の場合
- 一度に大きな金額が必要
- ただし、トータルでは安い
別々施工の場合
- 費用を分散できる
- ただし、トータルでは高くなる
予算に余裕があるなら同時施工、一度に大きな金額を用意できないなら別々施工、という判断もあります。
費用相場については、
「外壁塗装の費用相場はいくら?適正価格と内訳を解説」で詳しく解説しています。
⑤ 今後の住む予定年数
10年以上住む予定 → 同時施工で足場代を節約する方が合理的
5年以内に建て替えや売却を検討 → 必要最低限の施工に抑える方が現実的
判断に迷う場合 → まず外壁だけを施工し、屋根は数年後に判断
そもそも塗装が必要かどうかの判断については、
「外壁塗装は本当に必要?やらなくていいケースも解説」も参考にしてください。
業者の提案で注意すべきポイント
業者から「一緒にやった方がいい」と提案されたとき、以下のポイントに注意してください。
注意点①:「今やらないと損」という言い方
「今やらないと、後で足場代が余計にかかって損しますよ」と強く勧めてくる業者には注意が必要です。
確かに同時施工の方が安くなる場合もありますが、
屋根の劣化が軽度なら、あと数年待っても問題ないこともあります。
誠実な業者であれば、「屋根の状態を見せますので、ご自身で判断してください」と言ってくれます。
注意点②:屋根の劣化を過度に強調する
「屋根がこんなに傷んでいます」と写真を見せられても、それが本当にあなたの家の屋根なのか、確認してください。
悪質な業者の中には、別の家の写真を見せるケースもあります。
必ず自分でも屋根の状態を確認するか、第三者に点検してもらうことをお勧めします。
悪徳業者の見分け方については、
「外壁塗装の悪徳業者の見分け方|実際の手口と対処法」で詳しく解説しています。
注意点③:見積書の内訳が曖昧
「外壁・屋根セット ○○万円」と一括で提示され、内訳が不明確な見積書は要注意です。
確認すべき内訳
- 外壁塗装:○万円
- 屋根塗装:○万円
- 足場代:○万円
- その他費用:○万円
内訳が明確であれば、「屋根塗装を外すと、いくらになるか」も確認できます。
注意点④:契約を急がせる
「今日決めてくれれば、セット価格で○万円」といった、
契約を急がせる業者は避けた方が無難です。
誠実な業者であれば、
「じっくり考えてください」「ご家族に相談してください」と言ってくれます。
契約前のチェックポイントについては、
「外壁塗装で後悔しないためのチェックポイント」で詳しく解説しています。
実際の判断事例
私が実際に相談を受けた事例をご紹介します。
事例①:同時施工を選んだケース
状況
- 築15年、外壁も屋根も初めての塗装
- 両方に劣化症状が見られる
- 今後20年は住み続ける予定
- 予算に余裕がある
判断
同時施工を選択。足場代を節約でき、一度の工事で完結するため、合理的だった。
事例②:外壁だけを選んだケース
状況
- 築12年、外壁は初めてだが、屋根は5年前に塗装済み
- 外壁にはひび割れが見られるが、屋根はまだきれい
- 予算を抑えたい
判断
外壁だけを施工。屋根はあと5年は大丈夫と判断。
トータルでは高くなるが、今の負担を減らせた。
事例③:両方とも見送ったケース
状況
- 築10年、外壁も屋根も劣化は見られない
- 業者から「そろそろ塗装時期」と勧められた
判断
第三者に点検を依頼したところ、「まだあと3〜5年は大丈夫」と言われ、見送った。
よくある質問
Q. 業者に「一緒にやらないと損」と言われました。本当ですか?
A. トータルの費用では、同時施工の方が安くなります。ただし、屋根の劣化が軽度なら、無理に今やる必要はありません。「損」という言葉で判断を急がせる業者には注意してください。
Q. 外壁と屋根、どちらを優先すべきですか?
A. 劣化が進んでいる方を優先してください。一般的には、外壁の方が劣化が目立ちやすく、屋根は目視しにくいため見落とされがちです。両方の状態を確認してから判断してください。
Q. 屋根は自分で確認できますか?
A. 自分で屋根に上がるのは危険です。業者に点検を依頼するか、ドローンを使った点検サービスを利用する方法もあります。
Q. 同時施工を断ったら、業者の態度が変わりました。これは普通ですか?
A. いいえ、普通ではありません。誠実な業者であれば、施主の判断を尊重してくれます。態度が変わる業者は、自分の利益を優先している可能性があります。
まとめ|自分の家に合った判断が大切
外壁塗装と屋根塗装を同時にやるべきか、別々にすべきか。この判断は、
あなたの家の状況によって変わります。
同時施工が向いているケース
- 外壁と屋根の劣化が同時期
- 予算に余裕がある
- 今後10年以上住み続ける予定
- 工事を一度で済ませたい
別々施工が向いているケース
- 劣化度合いが大きく異なる
- 予算を分散させたい
- 近いうちに建て替えや売却を検討
- まずは必要な箇所だけ施工したい
判断のポイント
- 劣化状況を確認する
- 前回の塗装時期を確認する
- 予算を確認する
- 今後の住む予定年数を考える
- 業者の説明を鵜呑みにしない
業者選びのポイント
- 「今やらないと損」と急がせない業者
- 劣化状況を正直に説明してくれる業者
- 見積書の内訳が明確な業者
- 施主の判断を尊重してくれる業者
大切なのは、「業者の都合」ではなく「あなたの家の状況」で判断することです。
自分の判断に自信が持てない場合や、第三者の意見を聞いてから決めたい場合は、
複数の業者に状況を見てもらうという選択肢もあります。
例えば、複数の塗装業者から一度に見積もりを取れるサービスを使えば、
「同時にやるべきか」「今回は外壁だけでいいのか」を比較しながら判断できます。
複数社の提案を比較することで、
「この業者は無理に勧めているな」「この業者は正直に説明してくれるな」という違いが見えてきます。
迷ったときは、一人で判断せず、家族に相談してください。
配偶者や子ども、兄弟姉妹に「どう思う?」と聞くだけでも、冷静な視点が加わります。
この記事が、一人でも多くの方に届き、外壁塗装で後悔する人が減ることを、心から願っています。
正しい情報をもとに、納得のいく判断をしてください。
そして、不安なときは一人で抱え込まず、必ず誰かに相談してください。
あなたとご家族が、安心して外壁塗装を終えられることを願っています。


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