相見積もりを取って、価格を比較した。
保証年数も確認した、塗料のグレードも揃えた。
「あとは、どこに決めるかだけ」
でも、ちょっと待ってください。
価格や保証年数の比較だけで、「安心」を買おうとしていませんか?
建築会社を経営してきた立場から、正直に言わせていただきます。
外壁塗装で最も重要なのは、「誰があなたの家を塗るか」ではなく、
「その職人に、誰が指示を出しているか」です。
「自社施工の方が、中間マージンがないから安い」
そういう説明を聞いたことがあるかもしれません。
でも、自社施工の本当の価値は、価格ではありません。
品質管理の直通ラインにあります。
経営者が「乾燥時間を守れ」「高圧洗浄を徹底しろ」と指示したとき、
その理念が職人に直接届くかどうか。
これが、仕上がりと耐久性を左右します。
この記事では、現役の建築会社経営者として、
業者比較で見落としがちな「自社施工」の本当の価値を、正直にお伝えします。
なぜ「自社施工」は中間マージン以上に「品質」に差が出るのか
自社施工と下請け構造の違いは、価格だけではありません。
品質管理の仕組みが、根本的に違います。
経営者の理念が、職人に直接届く
建築会社を経営していて、最も大切にしていることがあります。
それは、「基本を守る」ことです。
- 高圧洗浄を徹底する
- 乾燥時間を確保する
- 下地処理を丁寧に行う
- メーカーの施工基準を守る
これらは、すべて「当たり前」のことです。
でも、この「当たり前」を守るかどうかが、仕上がりと耐久性を左右します。
自社施工の場合
経営者の私が、直接職人に指示を出します。
「この現場は、乾燥時間を24時間確保してください」
「高圧洗浄は、コケが完全に落ちるまで丁寧にやってください」
職人は、私の指示を理解し、その通りに作業します。
なぜなら、職人は私の会社の社員だからです。
私の理念を理解し、それを実践することが、彼らの仕事です。
自社の社員か、固定の専属チームか。いずれにしても、
指示・品質基準が“現場まで一本で届く体制”かどうかが重要です。
下請け構造の場合
元請け業者(営業会社・ハウスメーカーなど)が、下請け業者に工事を発注します。
元請け業者の営業マンは、施主に
「乾燥時間を守ります」「高圧洗浄を徹底します」と説明します。
でも、その指示が、実際に現場で作業する職人に届いているかどうかは、わかりません。
下請け業者は、元請け業者から「この予算で、この工期で終わらせてください」と言われます。
予算と工期が厳しい場合、下請け業者は、利益を確保するために工程を省略します。
- 乾燥時間を短縮する
- 高圧洗浄を簡略化する
- 下塗りを省く
こうした手抜きは、元請け業者の営業マンが意図したものではありません。
でも、構造上、起きやすいのです。
乾燥時間を守らない塗装のリスクについては、
乾燥時間を守らない塗装のリスクで詳しく解説していますので、確認してください。
予算の叩き合いが、品質を下げる
下請け構造では、予算の叩き合いが起きます。
元請け業者の利益構造
元請け業者は、施主から150万円で契約します。
そこから、自社の利益(営業コスト・広告費・管理費など)を引きます。
残った金額(例:100万円)を、下請け業者に発注します。
下請け業者の利益構造
下請け業者は、100万円で工事を受注します。
そこから、材料費・人件費・移動費を引いて、残った金額が利益です。
でも、100万円では利益が少ない。
だから、下請け業者は、工期を短縮して人件費を削減します。
- 乾燥時間を待たない(職人の待機時間を削減)
- 高圧洗浄を簡略化する(作業時間を短縮)
- 下塗りを省く(材料費と人件費を削減)
これは、下請け業者が悪いわけではありません。
構造上、そうならざるを得ないのです。
自社施工の場合
自社施工の場合、中間マージンがないため、同じ150万円でも、
現場にかけられる予算が大きくなります。
適正な利益を確保しながら、乾燥時間を守り、高圧洗浄を徹底することができます。
責任の所在が明確
下請け構造では、責任の所在が曖昧になることがあります。
施主:「塗装が剥がれてきました」
元請け業者:「下請けの施工不良ですね。下請けに連絡します」
下請け業者:「元請けから指示された工期と予算では、これが限界でした」
こうした責任の押し付け合いが起きることがあります。
自社施工の場合
自社施工の場合、施工した職人と経営者が同じ会社です。
責任の所在が明確です。
「私の会社の職人が施工しましたので、私が責任を持って対応します」
こうした対応ができます。
高圧洗浄の手抜きが招く保証トラブルについては、
高圧洗浄の手抜きが招く保証トラブルで詳しく解説していますので、
保証を重視する方は確認してください。
【暴露】「自社施工」を謳いながら、実は丸投げしている業者の見分け方
ここで、正直に言わなければならないことがあります。
「自社施工」を謳っていても、実際には下請けに丸投げしている業者が存在します。
ホームページに「自社施工」と書いてあるだけでは信用できない
「自社施工」という言葉は、法律で定義されていません。
だから、どんな業者でも「自社施工」と名乗ることができます。
実際には、一部の工程を自社でやっているだけで、ほとんどを下請けに出している業者もいます。
見分け方1:職人の顔が見えるか
本当に自社施工をしている業者は、職人を大切にしています。
ホームページやブログ、SNSで、職人の顔や作業風景を紹介していることが多いです。
- 「職人紹介」のページがあるか
- 施工事例に、職人の顔や名前が載っているか
- ブログやSNSで、現場の様子を発信しているか
これらがある業者は、自社施工である可能性が高いです。
逆に、営業マンの顔しか載っていない業者は、下請けに出している可能性があります。
見分け方2:「現場の責任者は誰ですか?」と質問する
見積もりの段階で、以下の質問をしてください。
「この現場の責任者(職人)は、御社の社員ですか?」
自社施工の業者なら、「はい、弊社の社員です」と即答します。
下請けに出す業者は、「協力会社の職人です」「外注の職人です」と答えます。
または、曖昧な回答をします。
見分け方3:施工中の現場を見学させてもらえるか
「他の施工中の現場を見学させていただけますか?」
この依頼を快く受けてくれる業者は、自社施工である可能性が高いです。
自分の会社の職人が作業しているので、見せることに抵抗がありません。
逆に、嫌がる業者は、下請けに出している、または施工品質に自信がない可能性があります。
見積書の「一式」表記に潜む不透明さについては、
見積書の「一式」表記に潜む不透明さで詳しく解説していますので、
見積もりを受け取ったら確認してください。
表面上の言葉に惑わされず、
実際に自社施工で実績のある優良業者を複数ピックアップして、
その「温度感」を比較してみましょう。
相見積もりで「自社施工店」と「ハウスメーカー・大手」を比較する際の注意点
自社施工の地元業者と、ハウスメーカーや大手業者を比較する際、
以下の点を理解しておいてください。
自社施工店 vs 下請けメイン店の比較
| 項目 | 自社施工店 | 下請けメイン店(ハウスメーカー・大手) |
|---|---|---|
| 中間マージン | なし | あり(20〜30%) |
| 費用 | 比較的安い | 比較的高い |
| 品質管理 | 経営者→職人に直接指示 | 元請け→下請けを通して指示 |
| 責任の所在 | 明確(自社が全責任) | 曖昧(元請けと下請けの間で) |
| 職人の顔 | 見えやすい | 見えにくい |
| アフターフォロー | 迅速(自社職人が対応) | 時間がかかる(下請けと調整) |
| 保証の信頼性 | 会社の存続次第 | 大手は倒産リスクが低い |
| ブランド力 | 低い | 高い(安心料) |
大手のメリット:安心料としてのブランド代
大手ハウスメーカーや全国展開している業者には、以下のメリットがあります。
- 会社の倒産リスクが低い
- 保証体制が整っている
- クレーム対応のマニュアルがある
- 営業マンの教育が行き届いている
これらは、「安心料」として、費用が高くなる理由です。
ブランド力を重視する方には、大手が向いています。
大手のデメリット:現場の透明性が低い
一方で、大手には以下のデメリットがあります。
- 実際に施工する職人の顔が見えない
- 下請けに丸投げされる可能性がある
- 現場の品質管理が、元請けの意図通りにならないことがある
- 費用が高い(中間マージンが発生)
現場の透明性を重視する方には、自社施工の地元業者が向いています。
どちらを選ぶべきか
以下の質問で、自分の優先順位を確認してください。
ブランド力と安心感を重視しますか? → Yes:大手ハウスメーカー・全国展開業者
現場の透明性と、経営者の理念が職人に届くことを重視しますか? → Yes:自社施工の地元業者
費用を抑えたいですか? → Yes:自社施工の地元業者
どちらが正解というわけではありません。
自分の優先順位に合った業者を選んでください。
相見積もりで迷った時の整理術については、
相見積もりで迷った時の整理術で詳しく解説していますので、
判断に迷ったときに参考にしてください。
【最終確認】経営者が教える、契約直前に担当者へ投げるべき「魔法の質問」
契約前に、以下の質問を担当者にしてください。
この質問への回答で、業者の誠実さがわかります。
質問1:「この現場の責任者(職人)と、社長の距離はどれくらいですか?」
この質問の意図は、品質管理の直通ラインがあるかを確認することです。
理想的な回答
「私(社長)が、直接職人に指示を出します」
「責任者の職人は、私の右腕です。毎日報告を受けています」
注意が必要な回答
「外注の職人ですが、信頼しています」
「下請け業者に任せていますが、定期的にチェックしています」
前者は、品質管理の直通ラインがあります。
後者は、間接的な管理になり、経営者の理念が職人に届きにくいです。
質問2:「雨が降ったら、工程はどうなりますか?」
この質問の意図は、乾燥時間や天候への対応を重視しているかを確認することです。
理想的な回答
「雨が降った場合は、工程を調整して、しっかり乾燥させてから次の工程に進みます。
工期が1〜2日延びることもありますが、品質を優先します」
注意が必要な回答
「雨でも作業を進めます」
「工期は変わりません」
前者は、品質を優先しています。
後者は、工期を優先し、乾燥時間を軽視している可能性があります。
質問3:「施工中の写真は、見せていただけますか?」
この質問の意図は、施工の透明性を確認することです。
理想的な回答
「はい、高圧洗浄後、下塗り後、中塗り後、上塗り後の写真を撮影して、お渡しします」
注意が必要な回答
「完成後の写真はお渡しします」
「写真は撮りませんが、いつでも現場を見に来てください」
前者は、施工の各工程を記録し、透明性を重視しています。
後者は、記録を残さない、または見せたくない可能性があります。
質問4:「職人さんの顔と名前を教えていただけますか?」
この質問の意図は、自社施工かどうかを確認することです。
理想的な回答
「はい、責任者の○○と、職人の△△が担当します。こちらが顔写真です」
注意が必要な回答
「当日にならないとわかりません」
「外注の職人なので、名前はわかりません」
前者は、自社施工で、職人を把握しています。
後者は、下請けに出している可能性があります。
外壁塗装業者を比較する際のチェックリストについては、
外壁塗装業者を比較する際のチェックリストで詳しく解説していますので、
最終確認に活用してください。
まとめ:あなたの家を実際に塗るのは「営業マン」ではなく「職人」である
外壁塗装で最も重要なのは、「誰があなたの家を塗るか」ではなく、
「その職人に、誰が指示を出しているか」です。
自社施工の本当の価値は、中間マージンがないことではなく、品質管理の直通ラインにあります。
経営者の理念(乾燥時間を守る、高圧洗浄を徹底する、基本を守る)が、
職人に直接届くかどうかが、仕上がりと耐久性を左右します。
以下のポイントで業者を比較してください。
- 職人の顔が見えるか(ホームページ・ブログ・SNS)
- 「現場の責任者は誰ですか?」という質問に、明確に答えられるか
- 施工中の現場を見学させてもらえるか
- 「雨が降ったらどうなりますか?」という質問に、品質優先の回答をするか
- 施工中の写真を記録してもらえるか
自社施工店と大手ハウスメーカーを比較する際は、
ブランド力と現場の透明性のどちらを優先するかを考えてください。
どちらが正解というわけではなく、自分の優先順位に合った業者を選ぶことが大切です。
あなたの家を実際に塗るのは、営業マンではなく、職人です。
その職人に、経営者の理念が届いているかどうか。
それが、後悔しない外壁塗装の鍵です。
最後は、あなたの家を大切に思ってくれる「人」で選んでください。
信頼できる地元の自社施工店との出会いをサポートします。
最後に|この記事を家族で共有してください
建築会社を経営してきた立場から、最近特に感じていることがあります。
業者選びで、価格や保証年数だけを比較して決めてしまう方が非常に多いことです。
特に高齢のご両親や祖父母が一人で業者と話を進めている場合、
「大手だから安心」「安いから助かる」という理由だけで決めてしまうことも少なくありません。
でも、外壁塗装の品質を左右するのは、価格でもブランドでもありません。
実際に現場で作業する職人に、経営者の理念が届いているかどうかです。
この記事を、ご家族で共有してください。
「この業者は、自社施工ですか?」
「職人の顔が見えますか?」
「現場の責任者と、社長の距離はどれくらいですか?」
こうした質問を一緒に考えることで、より納得できる判断ができます。
一人で抱え込まず、家族や信頼できる人に相談しながら、
じっくり時間をかけて業者を選んでください。
営業マンの言葉ではなく、職人の顔を見て決めてください。
焦らず、納得できるまで確認してから契約してください。
この記事が、あなたとご家族の判断材料の一つになれば幸いです。


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